KDM特別編集 万年筆を買いたい!!
こんな筆記具です
書き味
万年筆はこの夢を叶える魔法の筆記具なのです。コンディションの良い万年筆は無駄な力を入れなくても文字を書くことが出来ます(力を入れなければインクが出ないペンに心当たりがある方、是非この先も読んで下さいね)。
余分な力を入れないで書いた文字はとても自由で美しく書くことができます。
また、万年筆のペン先はとてもデリケートで紙のわずかな凹凸をも感じ取ってしまいます。質の良い紙からの心地よい振動を是非楽しんでいただきたいとKDMは考えております。
筆跡
お手紙、日記、手帳など自分の感情に密着した書き物には是非とも使っていただきたいです!
個体差
寿命
ペンは少しずつすり減ってきます。しかし、定期的な調整を加えることで何十年も使うことが出来ます。ペン先よりもむしろ樹脂製のキャップやペン芯、ピストン部分の故障や摩耗によりご利用できなくなるケースが多いように感じます。
万年筆を買う前に
万年筆の字幅って?
細字(F)
漢字を書く日本人には最もマッチしていると思います。手帳、日記などびっしり文字を書きたいなら間違いなく細字、極細字。
※UEF(ウルトラエクストラファイン)というEF以上に細いペン先も国産品では稀に存在しているようです
中字(M)
紙に接する面積が多い分、ファインよりも滑らかに感じます。ただ、始めて万年筆を持つ方にとっては、比較対象がボールペンやシャープペンシルとなるため、非常に太いラインに感じるでしょう。
太字(B)
署名は是非こんな万年筆でかっこよくかきたいものです。買われる方の95%が男性。
ミュージック(M)
横線を引いたときは細く、縦に引くと太く書くことができ、音符の玉や旗を書くときに重宝するアイテムです。但し、現在はその効果のおもしろさからサイン用などのお求めになるケースが多いようですね。
商品によっては切り割りが 2本入っているものもあります。
ソフト(S)
その他にもメーカーさんによっては様々な字幅を販売されております。 SF(ソフトファイン)、SM(ソフトミディアム)のSはソフトを表す補助記号で、パイロットさんの独自規格です。筆圧の弱い方がより気持ちよく書けるようにと作られており、実際に書いてみるとしなりが強くとても柔らかいタッチです。
アンフェンガ(A)
日本語で言うと「初心者」の意味。実際に書いてみると、日本の万年筆では中字程度のためかなり太く感じるはずです。 おそらくこの初心者というのが、万年筆初心者ではなく「初めて文字を書く(簡単な文字しか書けいない状態)」という意味になっているためではないかと推測しております。
オブリークブロード(O)
Bの数が増えれば増えるほど太いことを表します。では「O」は?これは調べてみたところどうやら「Oblique」、つまり「斜め」を表します。カリグラフィ用のペンとして作られたようです。日本語では傾斜太字などと表現されます。
コース(C)
「目が粗い」とか、「ぶっきらぼう」という意味があります(どちらかとあまり良くない意味で使われることの多い単語のようです)。パイロットさんの最も太い字幅がこの表記となっております。
※他のメーカーさんの場合はおそらくBBとかそういった表記になるのでしょう。
インクの色々
インクの性質
カーボンインク
また、修理後も最初のような滑らかな書き心地が戻らない場合もあるようですので、毎日絶えず書き続ける、少しでも書かない期間が有る場合は即座に洗浄、キャップを必ず閉めるという習慣が必須の気むずかしいインクです。
しかしながら、その美しさから未だに希望される方が多いのも事実です。
→最近ではカーボンインク洗浄が可能なクリーナーもございます。もしも固まってしまったときには一度お試し下さい(インクの種類、乾燥後の経過時間によっては残念ながら修理対応になる場合もございます)。
https://www.kdm.bz/p70006.html。
黒
ブルーブラック
しかし近年ではこの仕組みを利用しないブルーブラックインクのほうが多いようです。
青
紫外線に弱く、FAXやコピーに出にくいため、公式文書に使うのは控えたほうが良さそうです。
その他
製図用・証券用[万年筆にはご利用いただけません]
★製図用:[万年筆非対応]乾燥が早く、滲みも少ないため漫画原稿に使う方が多いようです。あまり光沢はありません。水溶性のためカラー原稿には不向きです。
★証券用:[万年筆非対応]耐水性。しかし、漫画原稿などに利用している方のレビューを拝見していると、水で若干滲んでしまうようです。あまり漫画原稿には適していないようですよ。
混色用
プライベートリザーブドインク https://www.kdm.bz/c1_600000003300.html
ミックスフリーインク https://www.kdm.bz/c1_300000001587.html
インクの補充方式
カートリッジ式
コンバーター式
どういう意味かというと、インクカートリッジのかわりにコンバーターというインク吸入器を装着できる万年筆をコンバーター式・両様式と一般に呼びます。適合するコンバーターはメーカー、品番によって異なりますので不明な場合はお問い合せ下さい。
コンバーター式一番のメリットは、ボトルインクを使うことができ、Very Economy!
吸入式
パイロットプランジャ式
-
吸入式には違いないのですが、かなり特殊な方式で、機構機内気圧差トラブル(インク噴出など)を回避することができる万年筆です。
- 尻軸(以下尾栓)をゆるめ引っ張り出す
- 引っ張り出した尾栓をゆっくりと下に戻す
- プランジャ式専用ボトルインクを使います
- 途中で軽くなります(軽くなった瞬間にインクが吸い上げられます)
- 使い終わったら、尾栓を閉めます。
- 再びつかうときは尾栓をゆるめ書き始めます
万年筆の素材
ペン先
錆びにくく、硬いペン先です。一度自分の書き癖になじむと変型しにくいため、良い書き味が持続します。比較的安価(2,000円前後からあります)に購入できるアイテムが多く、「万年筆を一度使ってみたい」という方におすすめしております。
万年筆ヘビーユーザーは随分昔に忘れてしまった感覚かもしれないのですが、一般的な事務用・学用筆記具ユーザーにとっていきなり高価なお品を買うことはなかなか難しいことです。
初めて万年筆を使う方は(通常のボールペンやシャープペンシルなどを使う際の筆圧はやや高めになりがちなのです)硬いステンレスペン先で万年筆の性質を体験学習してみると良いと思います。
錆びにくく、柔らかく、そして滑らか。万年筆が好きになった方は是非手に入れていただきたいです。金の含有量が高いほど柔らかくなります。多くの万年筆ユーザーはこの滑らかさにとりつかれているのです(勿論私もその一人ですが・・・)!
ペン軸
万年筆の部位
本体
ペン先と胴軸をつなぐ部品
カートリッジ式万年筆には必ずついており、インクカートリッジを槍にさすことによりセットできる。カートリッジをさしこむ際にねじったりすると折れたりするので要注意。またカートリッジは正しい向きで差し込むこと
筆記する際に手で持つ部分。万年筆のデザインはこの部分でほとんど決まってしまう
吸入式の場合、この尻軸を回すことによってインクを吸入したり、排出したりします。カートリッジ式の場合は意匠的な意味合いが強く胴軸と一体化している場合が多い
キャップ
キャップの頭に付いている部品で、メーカーのマークなどが入っていることが多いです
キャップ本体の筒部分
- 豆知識:昔の万年筆は小さな穴があけてある場合があり、キャップ内側の結露を防止したり、誤飲してしまった場合の気道確保のためと言われております。今手に入る万年筆ではほとんどこの穴は開いていないようです
- キャップの閉め方には二種類有り、ねじ式と勘合式があります。ねじ式の方が機密性が高くペン先を乾燥から守ります。勘合式は非常に便利ですが、キャップのすり減りや変型により(素材の摩耗ですから避けられないのです)ねじ式に比べ寿命は短くなります
- 勘合式の開閉方法は片手でキャップを上向きの状態で胴軸を握り、親指をキャップに添えて開けます。キャップと胴軸をそれぞれの手で持って開けると、開けた瞬間にインクが飛び、キャップの中にインクが溜まる現象が起きます。ペン先や首軸の汚れ(筆記時に手が汚れます)、キャップ中のインクが古くなるとカビや腐食の原因にもなりますので注意が必要です
万年筆は乾燥が大敵。気密性を上げるために内キャップ備えられているものもあります
ポケットにさした際、天ビスとともに外から見えることもあり、メーカー独自の形状をしていることが多いです
ペン先
イリジウム、イリドスミン(合金)など、摩耗に強い金属で作られている先端の小さな小さな球体。文字を書く際に紙と接する部分で、この部品の形状で書き味の多くが決まります
ハート型だったり、円形をしており、ペン先の弾力(しなり)を決定づけるもの。大きく横長だと弾力性が高く、小さいと堅めのペン先になります
切り割りなどとも呼ばれるペンの先からハート穴までの切り込み。インク量を決める大事なファクターで、溝の幅が広ければ広いほどインクは多く出ます
※溝の幅が広くなりすぎると、毛細管現象が働かなくなり全くインクが出なくなる(開きすぎてしまった状態
ペン先の裏に密着する樹脂製の部位。切り割りと並行にインクが通るための溝が掘られており、筆記によりインクが外に排出された際の空気交換もここで行われます。よどみないインクの流れを作る大事な部品
オプション[詳しくは「インクを入れよう」にて]
カートリッジ式万年筆の中にはインクカートリッジの代わりにコンバーターという部品(別売のケースが多いのですが、はじめからセットされている商品もあります)
万年筆用インクが封入された筒状の容器。カートリッジ式万年筆にさして使い、インクの供給を行います。やや割高
吸入式万年筆、コンバーターを装着したカートリッジ式万年筆のインク
万年筆を買いに
どこで買うとよいでしょうか。
万年筆に詳しいスタッフのいるお店で
そのため、使い方やお手入れ方法などを詳しく聞くことができるスタッフのいるお店で買うことをおすすめしております。
ちょっと考えて!ネットでのお買い物
それは何故かというと、試し書きが出来ないからです。
万年筆選びは人それぞれの書き癖や筆圧等と万年筆の個体差との相性をみるためのフィッティングが必要です。
そのため、試し書き(試筆)を行い複数の万年筆を比較して選ぶことができ、その後のお手入れや修理相談ができるお店で買うことをおすすめします。高額商品が信じられないような割引率で売られているネットストアはとても魅力的ですが、デザインだけで選んでしまい、書き心地がしっくり来ないと最終的には全く使わなくなってしまう可能性もあります。使ってこその万年筆ですから、少々高くとも文具店に選びに行ってみて下さいね。
ちょっと待って!万年筆のプレゼント
万年筆は本当に特別な贈り物になりますから、心から大切に思う人と一緒にお店へ行って納得いく商品を選びましょう(それもまた楽しいのです)。
自分に合ったペンってどんなペン?
力を抜いて紙の上を滑らしてみましょう
これは何のテストかというと、万年筆の重みだけで毛細管現象が働くかどうかを見ているのです。万年筆はペンの中にあるインクが、より細いペン先に向かって流れる性質を利用した筆記具です。本来ならば万年筆本体の重みだけで、紙に接した瞬間にペン先がしなって僅かに切り割りが開き、よどみのないインクの流れが完成します。しかし、途中でインクが通らない場所があると、毛細管現象がペン先まで働かずインクが出ません。
つまり力をいれてゴリゴリと書かなければならないため、気持ちよく書ける万年筆ではないのです。
自分の名前を書いてみましょう
引っかかりはないですか?
字幅は細すぎないですか?太すぎないですか?
運命の万年筆に出会うコツ
高価な買い物ですから、これだ!と思えるものが出るまでじっくり探しましょう。限定品などは早く買わなければ市場から消え去ってしまう場合も有りますが、運も出会いのうち。
舶来(輸入)万年筆のお取扱
字幅にご用心
個体差
価格
修理の費用と期間
- 修理見積:海外製万年筆修理価格等を調べる見積だけでも費用がかかります(ご購入後所定期間内の初期不良を除く)。
- 修理期間:最低1ヶ月、長い場合は半年程度と非常に長くかかります
- 修理費用:1万円以上となる場合もざらで、非常に維持費のかかる万年筆と言えます
舶来万年筆がライトに購入できる時代になってしまいましたが、大切に扱うことができ、万年筆のことをよく理解している方にしかおすすめ出来ない性質をもっています(勿論大切にするという意味では、国産でも同じですが・・・)。
万年筆の予算
高ければ良いわけではありません
相場はステンレスペン先で2,000円〜5,000円程度です。金ペンは10,000円以上(国産10,000円、舶来30,000円程度)です。
一度万年筆の魅力を知ると、いつかは金ペンが欲しくなります。国産品ならば10000円程度で充分な品が手に入りますので、是非一度ご検討下さい。
30,000円からは別世界
万年筆を買ったら
インクを入れよう
カートリッジ式万年筆の中にはカートリッジの代わりにコンバーターという部品をさしこむことによって、ボトルインクを使うことができるます。但し、万年筆の種類によって使うことができる種類が限定されているので注意が必要です。また、適合するコンバーターのない万年筆も存在します。
※インク補充方法は「吸入式」の項にて解説しております
万年筆用インクが封入された筒状のパック。カートリッジ式万年筆にさして使い、インクの供給を行います。やや割高。
- 胴軸と首軸を離します
- 首軸の槍に正しい向きでカートリッジをゆっくりさしこみます(まっすぐさすこと。ねじりながらさすと槍が折れてしまう場合があります)
- ペン先を下向きにし、さしたカートリッジをトントンと指先で優しくたたきます(振ったりするとインクがお部屋や洋服に付いてしまうので厳禁です)
- ペン先に貯まっていた空気がカートリッジ最上部に上ってきて、ペン先にインクが満たされていきます
吸入式万年筆、コンバーターを装着したカートリッジ式万年筆のインク
- 万年筆の尻軸(コンバーターの場合、回転式ノブ)を止まるまで回し、中のインクや空気をすべて抜いた状態にします
- このままインクボトルにペン先を浸します(ペン先を僅かに浸すだけではなかなかインクを吸い上げませんので、思い切って首軸が浸かる寸前まで浸しましょう!)
- さらに、尻軸を止まるまで反対向きに回しインクを吸い上げます
インクの色を変更したい
混ぜるな危険
【プライベートリザーブ】Private Reserve Ink/プライベートリザーブインク
https://www.kdm.bz/c1_600000003300.html
【プラチナ萬年筆】MixFree/ミックスフリー
https://www.kdm.bz/c1_300000001587.html
洗浄しよう
-
(1)吸入式またはコンバーター装着時の洗浄
- 残っているインクを全て出す
- 水を吸い上げたり吐き出したりを繰り返し、内部のインクを洗い流す
- 長期間使用しない場合はインクの代わりに水を入れておき、乾燥によるパッキンの劣化を防ぐ
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(2)カートリッジ装着時の洗浄
- カートリッジを取り外し、キャップ、軸、ペン先に分解する
- ペン先部分を水に一晩つけ置く
万年筆洗浄方法解説ページ https://www.kdm.bz/event/ev_049/
万年筆の持ち運び
落下厳禁!取扱は大切に。
- 万年筆→ペン先のゆがみが毛細管現象が正常に働くのを阻害します。一見歪んでいなくても、ルーペなどでみると一目瞭然です
- ボールペン→ペン先の球は非常に頑丈ですが、球を支える「チップ」や芯を支える「口金」部分は金属のため衝撃を受けると歪みます。チップが歪んでしまうと、球が滑らかに回らなくなり、口金が歪むとノックしても芯が出なくなる場合があります
- シャープペンシル→芯が出る先端のパイプが歪んでしまうと、芯が出なくなります
- キャップやノックなどでペン先を収納できる場合は、必ずペン先を格納した状態で
- ペンシースやペンケースに必ず収納する習慣を持ちましょう
万年筆の保管
インクは生ものです
変型にご用心
もっと万年筆を快適に使うために
万年筆便利グッズ
ピペット
使い切ったカートリッジインクを一本捨てないで残しておきます。 そして、東急ハンズさんやホームセンターさんで販売しているスポイトを用意します。
- カートリッジのおしり部分を切り取ります。 切り取った部分をライターであぶり「凸」を作ります
- 1で作った筒のおしりに(万年筆にさす方とは反対側ですね)ピペットを取り付け、輪ゴムできつく留めます
- ピペットを押すと、勢いよく水にペン先を浸し水を吸い上げたり、はき出したりするため素早く洗浄できます
シース
超音波洗浄機
万年筆豆知識
万年筆とインクの深い関係
万年筆とインクにも相性が!?
しかし、他社インクについてはまったく検証されていない場合が多いのです。化学反応により不具合を引き起こす場合がありますので、KDMでは極力ペンとインクメーカーをそろえてもらうようお願いしております。
あれ?インクが出ない
インクは十分に入っていますか?
インクが固まっていませんか?
ペンを落としませんでしたか?
乾燥にご用心
考え中はキャップ
気圧にご用心
実は万年筆以外の筆記具(ゲルインクペンや直液式インクペン)でも起きてしまうことがあるそうです。飛行機の中では鉛筆や中綿式(軸の中の綿にインクをしみこませてあるタイプの筆記具のことです) の筆記具にした方が良さそうです。
これから初めて万年筆を買う人、買ってはみたものの取り扱いに若干困っている人の一助となればと思っております。